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現在、物流システムはどの程度の市場規模となっているのでしょうか。現状について解説します。
物流システムの現状と展望
物流システムの市場規模について、株式会社富士経済が発表した「次世代物流システム・サービス市場を調査」を基に見ていきます。調査結果の発表によると、次世代物流システム・サービス市場は拡大基調にありました。
2022年の市場規模についてみてみると、7,114億円であり、これは2021年比107.4%増です。さらに、2030年予測は1兆1,831億円にまで上るとみられており、2021年比でいうと178.6%になります。
その中でも特に市場が拡大しているのは「ロボティクス・オートメーション」の分野です。自動化・デジタル化を促進する仕組みであることも関係し、システムを導入する企業が増えてきました。2030年予測の2021年比について市場別にみてみると、ロボティクス・オートメーションは3.5倍になります。
また、ラストワンマイルについても2.1倍予想となりました。ラストワンマイルとは、最終拠点からエンドユーザーに対する物流サービスのことです。つまり、物流の最終拠点にあたる場所から物品が注文者に届くまでの区間を指しています。
ラストワンマイル市場は今後規模が大きく伸びることが予測されているため、この傾向はさらに強まっていくでしょう。
物流システムの市場規模が拡大している要因
物流システムは、市場規模が拡大している状況です。その理由として、以下のようなことが挙げられます。
Web通販の利便性が増したことによるDX化加速の影響
新型コロナウイルス対策として、店頭での購入ではなく、Web通販を利用して物品を購入する方が増えました。そこで、各社ではWeb通販の利便性を高める対策を取っています。
その結果増えてきたのが、送料無料や注文の翌日配送です。これらを実現するためには、前述したラストワンマイルの最適化に取り組まなければなりません。エンドユーザーまでの最後の区間を最適化することにより、ミスのない配送や、効率改善につながります。
一方で、ドライバー不足や高齢化などの影響があり、思うようにラストワンマイルの最適化に取り組めていない企業も多いです。そこで、ITツールなどを導入することにより効率よく入出庫管理をする動きなどが強まってきました。
このようにDXの取り組みが加速しているのも物流システムの市場規模が拡大している理由の一つです。
物流システムの自動化が進んでいる
近年は、人手不足の問題解消や、従業員の労働負担を抑えるなどの目的から物流システムの自動化が進められています。
現在人手で行っているようなピッキングや仕訳などの作業についても続々と自動化が進められている状況です。
ロボティクス・オートメーションが進んでいるのも市場規模の拡大に関係しています。さまざまな形で物流はデジタル化されており、今後は物流の分野でのAIの活用なども期待されています。
さらにAIの技術が発達して音声認識活用物流システムの導入が進めば、ますます市場規模が拡大していくでしょう。このように、技術の発展による影響も大きいです。