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物流システム導入前に必要な業務フローの可視化

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この記事のポイント

  • 物流業務フローの可視化とは、入荷から出荷・配送・請求までの流れを工程ごとに整理すること
  • 可視化によって、属人化・二重入力・手作業・情報連携の遅れなどの課題を発見しやすくなる
  • システム導入前には、現行業務と理想フローの差分、既存システム連携、現場運用のしやすさを確認することが重要

物流業務では、入荷・保管・出荷・配送・請求など、複数の工程が連動しています。業務範囲が広く、関係者も多いため、現場の状況を正確に把握できていないまま業務改善やシステム導入を進めてしまうケースも少なくありません。

その結果、紙やExcelによる管理、担当者ごとの独自運用、手入力によるミス、在庫差異、出荷遅延などの課題が残ったままになることがあります。

こうした課題を解消するために重要なのが、物流業務フローの可視化です。物流システムを導入する前に、現在の業務の流れや課題を整理しておくことで、自社に必要なシステムや改善すべきポイントを明確にできます。

本記事では、物流業務フローを可視化する目的やメリット、基本的な業務フロー、可視化の手順、物流システムで管理できる領域、導入前のチェックポイントを解説します。

物流業務フローの可視化とは

業務フローの可視化で整理する内容

物流業務フローの可視化とは、入荷から出荷・配送・請求までの一連の業務を、工程ごとに整理して見える状態にすることです。

業務フローの可視化で整理する主な内容

  • 業務の順番
  • 各工程の担当者
  • 使用しているシステム
  • 使用している帳票・Excel・紙伝票
  • 情報の入力・共有タイミング
  • 確認・承認作業の有無
  • ミスや遅れが起きやすい工程
  • 関係者間の情報連携

物流業務は、倉庫内だけで完結するものではありません。荷主、倉庫、配送会社、販売部門、購買部門、経理部門など、複数の関係者が関わります。

そのため、特定の工程だけを見るのではなく、モノの流れ・情報の流れ・作業の流れをあわせて整理することが重要です。

物流システム導入前に業務フローを整理すべき理由

物流システムを導入する際、最初からシステム機能だけを比較してしまうと、自社の業務に合わないシステムを選んでしまう可能性があります。倉庫内の在庫管理に課題があるのか、配送計画に課題があるのか、拠点間の情報共有に課題があるのかによって、必要なシステムは異なるもの。

そのため、物流システムを導入する前には、まず現行業務を整理し、どの工程に課題があるのかを明確にする必要があります。

物流業務フローを可視化するメリット

物流業務フローを可視化すると、現場の課題を整理しやすくなり、システム選定や改善施策の判断にもつながります。

メリット 内容
属人化を防げる 担当者の経験や勘に依存している作業を整理し、誰でも同じ流れで対応しやすくなる
ムダや重複作業を発見できる 二重入力、紙からExcelへの転記、過剰な確認作業などを見つけやすくなる
トラブルの原因を把握できる 在庫差異、誤出荷、納期遅れなどがどの工程で起きているか追いやすくなる
システム選定に役立つ WMS、TMS、BIツールなど、自社に必要なシステムを判断しやすくなる

業務の属人化やブラックボックス化を防げる

物流現場では、長年の経験や担当者の判断に頼って業務が進められているケースがあります。保管場所の決定、出荷優先順位の判断、配送手配、イレギュラー対応などが、特定の担当者に依存している場合です。

こうした状態では、担当者が不在になったときに業務が止まったり、新しい担当者に引き継ぎにくくなったりします。

業務フローを可視化すると、誰が見ても業務の流れを理解できるようになります。作業手順や判断基準を明確にすることで、属人化を防ぎ、標準化を進めやすくなります。

ムダ・重複作業・ボトルネックを発見できる

物流業務を可視化すると、現場で発生しているムダや重複作業を見つけやすくなります。

見つかりやすいムダの例

  • 同じ情報を複数のシステムに入力している
  • 紙の伝票を見ながらExcelに転記している
  • 出荷前に複数人が同じ内容を確認している
  • ピッキングや配送手配で待ち時間が発生している

一つひとつの作業は小さく見えても、日々の業務量が多い物流現場では大きな負担になります。どの工程で作業が滞留しているのかを整理することで、優先的に改善すべきポイントが見えてきます。

在庫差異・誤出荷・納期遅れなどの原因を把握できる

物流業務では、在庫差異、誤出荷、出荷漏れ、納期遅れなどのトラブルが発生することがあります。しかし、業務フローが整理されていないと、どの工程で問題が起きているのかを特定しにくくなります。

トラブル 考えられる原因
在庫差異 入荷時の検品ミス、入庫処理の遅れ、返品処理の未反映、棚卸ルールの不備
誤出荷 ピッキングミス、出荷検品漏れ、送り先情報の誤り、出荷指示の更新漏れ
納期遅れ 出荷準備の遅れ、配送手配の遅れ、情報共有の遅れ、配車計画の不備

業務フローを可視化しておけば、どのタイミングで在庫情報が更新されるのか、誰が確認しているのか、どのシステムに反映されるのかを追いやすくなります。

WMS・TMSなどの物流システム選定に役立つ

物流システムは、製品によって対応できる業務範囲や得意領域が異なります。業務フローを可視化しておくと、自社に必要な機能を整理しやすくなります。

倉庫内の在庫精度やピッキング効率に課題がある場合は、WMSの導入が有効です。一方、配車計画や配送状況の把握に課題がある場合は、TMSや動態管理システムが候補になります。

現行業務と課題が整理されていれば、システム選定時に「どの機能が必要か」「どの業務をシステム化するか」「既存システムとどう連携するか」を判断しやすくなります。

物流業務フローを可視化する手順

物流業務フローの可視化は、目的を決め、現場の実態を把握し、工程ごとの情報を整理する流れで進めます。

  1. 対象範囲と目的を決める
  2. 現場ヒアリングで実態を把握する
  3. 入荷から配送・請求までの全体フローを整理する
  4. 工程ごとの担当者・使用システム・帳票を洗い出す
  5. 課題と改善優先度を整理する

1. 対象範囲と目的を決める

最初に、どの業務範囲を可視化するのかを決めます。物流業務全体を対象にするのか、倉庫業務だけを対象にするのか、配送業務だけを対象にするのかによって、整理すべき内容は変わります。

可視化の目的例

  • 在庫差異を減らしたい
  • 出荷ミスを減らしたい
  • 配送効率を上げたい
  • 物流システムを選定したい
  • 業務引き継ぎをしやすくしたい

目的が曖昧なまま可視化を始めると、フロー図を作ること自体が目的になってしまいます。

2. 現場ヒアリングで実態を把握する

次に、現場担当者へのヒアリングを行います。マニュアルや既存資料に書かれている業務フローと、実際の現場運用が異なるケースは少なくありません。

通常時の業務だけでなく、返品、欠品、緊急出荷、配送先変更、破損対応などのイレギュラー対応も確認しましょう。例外処理は、業務負荷やミスの原因になりやすいためです。

3. 入荷から配送・請求までの全体フローを整理する

現場の実態を把握したら、入荷から配送・請求までの全体フローを整理します。このとき、倉庫内の作業だけでなく、受注情報、在庫情報、出荷指示、配送情報、請求情報がどのように連携しているかを確認します。

全体フローを見るべき理由

出荷ミスの原因がピッキング作業ではなく、受注情報の変更連絡にある場合もあります。配送遅延の原因がドライバー不足ではなく、出荷準備の遅れにある場合もあります。

4. 工程ごとの担当者・使用システム・帳票を洗い出す

各工程について、担当者、使用しているシステム、利用している帳票やファイルを整理します。

確認項目 確認内容
工程名・作業内容 どのような作業を行っているか
担当部署・担当者 誰が作業や確認を行っているか
使用システム・帳票 どのシステム、Excel、紙伝票を使っているか
入力データ・確認作業 どの情報を入力し、どこで確認・承認しているか
ミス・作業量 発生しやすいミス、作業時間、処理件数を確認する

5. 課題と改善優先度を整理する

業務フローを整理したら、課題を洗い出し、改善優先度を決めます。すべての課題を一度に解決しようとすると、現場への負担が大きくなります。

出荷ミスの削減、在庫精度の向上、配送遅延の削減、請求漏れの防止など、事業への影響が大きいテーマから優先的に検討するとよいでしょう。

物流業務フロー可視化の失敗例と注意点

業務フローの可視化は、進め方を誤ると、改善につながらない資料作成で終わってしまうことがあります。

失敗例 注意点
フロー図を作ることが目的化する 作成後に、ムダ・課題・システム化すべき作業まで検討する
現場の実態と異なるフローを作る 管理部門だけで作らず、現場ヒアリングや実作業の確認を行う
システム導入後の運用ルールが決まっていない 入力タイミング、確認者、在庫差異発生時の対応などを決めておく
データを集めても改善につながらない KPIを確認し、改善策を実行し、結果を再確認する流れを作る

フロー図を作ることが目的化してしまう

業務フローの可視化でよくある失敗は、フロー図を作ること自体が目的になってしまうことです。きれいな図を作っても、課題の特定や改善アクションにつながらなければ意味がありません。

業務フローを作成した後は、どの工程にムダがあるのか、どの作業をなくせるのか、どこをシステム化すべきかまで検討しましょう。

現場の実態と異なる業務フローを作ってしまう

管理部門だけで業務フローを作成すると、現場の実態と異なる内容になってしまうことがあります。実際には例外処理が多い、担当者ごとに手順が違う、システム外でExcel管理している、といったケースもあります。

正確な業務フローを作るには、現場ヒアリングや実作業の確認が欠かせません。

システム導入後の運用ルールが決まっていない

物流システムを導入しても、運用ルールが決まっていなければ、データの入力漏れや運用のばらつきが発生します。

入荷実績をいつ登録するのか、在庫差異が出たときに誰が確認するのか、出荷キャンセル時にどのシステムを更新するのか、といったルールが必要です。

データを集めても改善アクションにつながらない

物流システムを導入すると、多くのデータを取得できるようになります。しかし、データを確認するだけで改善につながらなければ、十分な効果は得られません。

重要なのは、KPIを定期的に確認し、課題を見つけ、改善策を実行し、その結果を再度確認することです。可視化はゴールではなく、継続的な改善のための手段として活用する必要があります。

まとめ:物流業務フローの可視化はシステム導入と業務改善の第一歩

物流業務を改善するには、まず現状を正しく把握することが重要です。入荷、保管、在庫管理、ピッキング、出荷、配送、請求までの流れを整理し、どの工程で課題が発生しているのかを明確にしましょう。

この記事のまとめ

  • 物流業務フローの可視化では、モノ・情報・作業の流れを整理する
  • 紙やExcel、属人化、手入力、情報連携の遅れは重点的に確認する
  • 可視化した内容は、WMS・TMS・BIツールなどのシステム選定に活用できる
  • システム導入前には、現行業務と理想フローの差分や運用ルールも整理する
  • 可視化はゴールではなく、継続的な物流改善のための手段として活用する

物流業務フローを可視化すると、自社に必要な物流システムを判断しやすくなります。倉庫内の在庫管理や出荷精度に課題がある場合はWMS、配車や配送状況の管理に課題がある場合はTMS、物流データの分析に課題がある場合はBIツールの活用が有効です。

重要なのは、システム導入を目的にするのではなく、業務課題を解決するための手段として活用することです。物流業務フローの可視化を起点に、現場の実態に合った改善策を検討し、効率化・品質向上・コスト削減につなげましょう。

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