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物流業界では、製品の移動過程を追跡できる「トレーサビリティ」が注目されています。物流システムを導入することで、トレーサビリティの確保がしやすくなり、業務の透明化や顧客対応の向上につながります。
トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、「追跡可能性」や「生産履歴」を意味する言葉で、原材料の仕入れから消費者の手元に届くまでのプロセスを記録し、その履歴を追跡できる仕組みです。
物流業界においては、商品が「いつ・どこで・誰によって・どのように」届けられたかを記録し、その履歴を追跡できる仕組みを指します。トレーサビリティの導入により、貨物の位置情報が可視化され、業務品質の向上にもつながります。
トレーサビリティには、「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」の2つの種類があります。チェーントレーサビリティは、調達から製造、物流、販売までのサプライチェーン全体を対象とし、内部トレーサビリティは、企業や工場内で完結する工程を対象としています。
物流でトレーサビリティを確保するメリット
貨物の位置情報可視化
物流企業がトレーサビリティに取り組むことで、貨物の所在地や到着予定など、配送の進捗状況をリアルタイムで把握できます。交通渋滞や自然災害といった外的要因による配送遅延やトラブルを早期に検出することで、対策を講じられます。また、顧客も貨物の配送状況や到着時間などがチェックでき、貨物に関する問題が発生した場合も迅速な対応が取れるため、顧客への影響を最小限にとどめられます。
品質保証の向上
食品や医薬品などのデリケートな貨物では、高い品質管理が求められます。企業はトレーサビリティの導入により、温度や湿度、衝撃など物流中の商品の状態を記録することで品質保証体制の強化につながります。
法規制への対応強化
企業は、医薬品輸送におけるGDP(Good Distribution Practice)や食品輸送におけるHACCPの基準など、さまざまな法規制に対応しなくてはなりません。トレーサビリティの導入により、法規制への対応に加え、リスクの低減や円滑な物流運用が期待されます。
物流でトレーサビリティを確保する方法
RFID技術の活用
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波でやり取りする無線タグです。バーコードやQRコードとは異なり、無線タグ情報の読み取りや書き換えが一括で行えるため、トレーサビリティに関する処理を効率化できます。
IoTセンサーの導入
IoTセンサーには、GPSセンサー、温湿度センサー、振動センサーなどがあり、リアルタイムなデータ収集や異常検知ができます。より詳細なトレーサビリティの実現に役立つでしょう。
ブロックチェーン技術の活用
ブロックチェーンは、データを分散管理して改ざんを防止する技術です。ブロックチェーンを活用することで、トレーサビリティを確保できます。
物流システムの統合
物流システムの導入により、倉庫管理システム(WMS)、輸配送管理システム(TMS)、在庫管理システムなどを統合し、一元的なデータ管理ができます。これにより、サプライチェーン全体の状況を可視化できます。
物流システムを導入してトレーサビリティを確保しよう
物流システムの導入によって叶えられるトレーサビリティの確保は、物流業界の競争力向上に不可欠です。RFID、IoTセンサー、ブロックチェーンなどの技術を活用し、サプライチェーン全体の透明性を高めることで、顧客対応力の向上や法規制への対応にもつながります。今後の物流業界では、トレーサビリティの確保が重要な取り組みの一つとなっていくと考えられます。