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学習によって自社に特化した業務を任せることもできる人工知能(AI)は、身近な生活からロボットを駆使した重労働まで幅広い活躍が注目されており、荷物の配送や保管を行う物流システムの現場でも活用が期待されています。ここでは、AIを物流システムに活用するメリットとデメリット、実際の導入事例について紹介します。
物流システムにAIを活用するメリット
予測システムにAIを活用できる
AIが活躍するシチュエーションとしては、貨物量の予測システムが挙げられます。過去に配送センターで扱った荷物の量をデータとして分析し、時期や時間帯などからAIが貨物量を予測します。
物流業界は人手不足が深刻化しており、ヒューマンエラーを防止するという意味でも、コンピュータによるデータ分析はAIに一任されています。
貨物量の予測精度が向上すれば、時期にあわせた貨物量の分析がより正確にできるようになるため、スタッフの配置や必要な人数も予測できるようになります。
在庫管理やデータ管理への利用
人間が行っていた在庫の管理やデータ管理については、AIによる自動識別機能を試用することで省人化、無人化が可能となっています。
データの読み取りから転送、分析までを自動的に行うため、スタッフは別の業務に注力することができます。
運搬・搬送ロボットへのAI活用
作業スタッフの高齢化や肉体的重労働などから慢性的な人手不足に悩む物流倉庫では、自律走行を行う搬送ロボット(AMR)にAIを搭載し、自動走行・自動搬送による作業効率化を図っています。
障害物を感知するセンサーやエレベーターなどの設備との連携により、スタッフと同じ現場で荷物の運搬や受け渡しが行われています。
物流システムにAIを活用するデメリット
運用コストがかかる
不在時の配達に関する変更受け付け、倉庫で扱う貨物量の分析、AI搭載ロボットを活用した棚卸しや搬送業務など、業務効率化のためにシステムを導入する場合それぞれにコストがかかります。
AIによる高い費用対効果が期待できる一方、初期費用から運用やメンテナンスにもコストがかかる点がデメリットといえます。
システムの運用が負担になる
ロボティクスやデータ分析などの情報システムは、導入から運用、保守やメンテナンスまでに専門のスタッフが必要になります。
運用にルールを設け、専任のスタッフがシステムの運用に携わらなければならないため、負担になる場合があります。
AIを活用した物流システムの事例
AIによる自動検品システム
NTTロジスコでは、レンタル通信機器を再利用するためのリファビッシュ業務において、機器本体に割り振られている製造番号や電源アダプターの物品コードをAIが読み取り、テキスト化することでシステムへ自動送信する「自動検品システム」を導入しています。
今までは従業員の目視による検品が行われていましたが、誤入力が多くデータの入力にも手間がかかっていたため、AIの導入によって省力化と業務効率化が実現しました。
※参照元:NTTロジスコ「AI画像認識技術を用いた自動検品システム」の導入について~生産性60%向上と検品ミス0%を実現~(https://www.nttlogisco.com/info/2021/1708/)